田中整体療院

トピックス(健康関連)    

  

【当サイト内関連情報】   
E.まだまだ知られていない、副腎疲労症候群   
E.貧血、あるいは隠れ貧血ではありませんか?   

甲状腺疾患は、見逃されやすい?(2017.02.06.)(2017.03.10.更新)

  

(気になった所を抜粋しただけのものです。詳細は、参考書籍をご覧ください。   
なお、副甲状腺については、例えば、こちらをご覧ください)

        

1.【甲状腺機能亢進症(=バセドウ病)】   
2.【甲状腺機能低下症(=橋本病)】   
3.【その他のホルモン起因の病気・症状】   
4.【ホルモン剤の害】   
5.【甲状腺のセルフチェック】   
  

1.【甲状腺機能亢進症(=バセドウ病)】以下バセドウ病と記載。   
「眼球突出」は、バセドウ病の症状として有名ですが、実際は眼球突出がみられるのは、バセドウ病全体の約20~30%です。 目が出ていないからと安心してはいけないということです。   
ところで、パセドウ病は、下痢や軟便などの消化器症状、月経不順などの婦人科系症状、筋力低下や手の震え等全身に様々な症状を引き起こします。あまりにも症状が多彩なため、“内分泌科”に辿りつくのが遅れがちで、何年も病気を見過ごされているケースが少なくありません(パセドウ病を見過ごしたまま、急性のひどい感染症を起こすと、「バセドウ病クライシス」に陥ることがあるので注意が必要です。バセドウ病クライシスというのは、死亡率が約3割もある非常に重篤な状態です)。   
つまり、一言で言えば、バセドウ病は“誤診率の高い病気”です。典型的な症状が出ていれば見逃されることは少ないのですが、そうではない人が多いからです。間違えられやすい病気を、誤診例が多いものから挙げていくと、   
心臓病・・・・・・心臓がドキドキする、脈が速い   
糖尿病・・・・・・やせる、尿に糖が出る   
精神病・・・・・・興奮しやすい、イライラする   
急性腸炎など消化器の病気・・・・・・微熱が出て、下痢をする   
感冒、咬頭炎など呼吸器の病気・・・・・・首(甲状腺)の腫れ   
更年期障害、卵巣機能障害・・・・・・月経不順などの月経異常   
筋肉、神経の病気・・・・・・筋力の低下、手足の麻痺   
もし、これららの病気だという診断を受け、長い間治療を続けているにも関わらず、その効果があがらない場合には、専門医に、甲状腺の病気を調べてもらうことをおすすめします。   

*甲状腺ホルモンが過剰になると、活動性が高まり過ぎるため、夜になっても精神
が高揚して眠れなくなります。「目が冴えて眠れないんです」と不眠を訴える患
者さんをよく調べてみると、甲状腺ホルモンが過剰になっているということはよ
くあります。   
*甲状腺ホルモンは心拍数をコントロールするホルモンであるため、脈に症状が   
よく現われるのです。バセドウ病の患者さんにはたいてい“頻脈”が見られるよ   
うに、橋本病の患者さんの脈は非常に遅くなっているものです(頻脈は判断の参   
考になるが、徐脈は目安程度)。   

《誤診の起きやすい例、見逃されやすい例(参考書籍から抜粋)》   
〇パセドウ病が「糖尿病」と誤診されているケースは、かなりしばしば見かけられ   
ます。バセドウ病では尿に糖が出るタイプがあるのですが、それも、空腹時には   
異常がないのに、食後に血糖値が高くなるのがひとつの特徴です。糖尿病でも、   
初期のうちは朝起きた時とか、空腹時には尿に糖が出ないことが多いのですが、   
食事をすると血糖が急に高くなります。食欲があるのにやせるという症状も糖尿   
病の症状とよく似ています。そんなことで、バセドウ病を糖尿病とする誤診が生   
まれてくるのです。   

〇上が160で下が60という数値をみた時、私は<はてな?>と思いました。本態性
高血圧にしては下の数値が低すぎるのです。   
本態性高血圧の場合、一般に最高血圧と最低血圧の両方が高くなります。そこで   
患者さんの脈を測ってみると、80~90と多い。   
「これはバセドウ病ではないか」と私は思いました。バセドウ病でも血圧が高く   
なることがあるのですが、その場合、一般に最高血圧が高くなり、最低血圧は低   
くなるのです。   


〇一般に老年のバセドウ病では、心臓の病気が目立ちます。心臓の異常興奮が起
り、脈が速くなって動悸を感じたりします。既に心臓が悪くなっている所に、ま
たバセドウ病が起こると、なお心臓を悪くします。心不全を合併し、呼吸困難や
むくみを起こしたりするのです。自覚症状として特に多いのは、体重の減少で
す。65歳以上のバセドウ病患者では、ほとんどの人に体重減少がみられます。あ
る専門医の臨床結果によると、老年のバセドウ病患者には、
「心不全症状が67%、心房細動が39%、狭心症20%、急性肺浮腫8%が認められ
た」ということです。老年のバセドウ病患者の誤診率は60%と言われています
が、そのかなりの部分が、こうした心臓の症状が目立ったためのものではない
か、と思われます。いずれにしても、お年寄りに心臓病の症状が出たら、まず、
甲状腺の機能検査をするべきなのです。   

〇 高カルシウム血症   
副甲状腺は左右の甲状腺の裏に2対、合計4つあるごく小さな内分泌器官です。副   
甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモンは、血液中のカルシウム濃度をコントロ   
ールしています。この副甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる「副甲状腺機能亢進   
」では、4つある副甲状腺の何れかが腫瘍化して大きくなる為、ホルモンの分   
泌が過剰になり、血液中のカルシウム濃度も異常に高くなります(高カルシウム   
血症)。   
ちなみに、血液中のカルシウム濃度(血清カルシウム値)の正常域というのは非   
常に狭く、正常人の平均は「8.5~10.3mg/dℓ」とされています。血清カルシ   
ウム値が10.5mg/dℓを少しでも超えていたら、異常である、「高カルシウム血   
症」です。血液中のカルシウム濃度が高くなると、全身のあちこちに様々な症状   
が出てきます。その一つが「骨粗鬆症」です。まだ若いのにちょっとしたことで   
骨折したり、骨折を繰り返すような場合は、副甲状腺機能亢進症による高カルシ   
ウム血症が疑われます。その他にも、高カルシウム血症は、消化性潰瘍や吐   
き気、便秘、膵炎などの消化器症状、意識障害や抑うつなどの精神症状、倦怠感   
や筋力低下などの全身症状、高血圧、繰り返す尿路結石など、様々な症状を引き   
起こします。その原因として、副甲状腺機能亢進症を疑わなければなりません。   
しかし、この病気は非常に見逃されやすい病気の一つでもあるのです。   
実例を一つ示します。   
47歳の男性カメラマンNさんは、手足の痛みを訴えて一般外来を受診されまし   
た。数カ月に及ぶというその痛みは、関節や指先などのように痛む場所が限定さ   
れているわけではなく、「手足のあちこちが何となく痛む」というのです。そし   
て、よく話しを聞いてみると、のどが異常に渇いて、水をよく飲むといいます。   
また、気分が落ち込みがちで、悪心もあるといいます。さらに、過去の病歴を聞   
いてみると、Nさんは尿路結石で腰に激痛が起り、緊急入院するといったことを   
2~3回繰返していました。   
内分泌の専門医からすれば、Nさんの症状は、副甲状腺機能亢進症による高カル   
シウム血症の典型的な症状ですが、これだけ典型的な症状がそろっていても、一   
般内科の診察ではどこが悪いのか、中々発見することができません。   
ちなみに、副甲状腺は、甲状腺の裏側に隠れている為、腫瘍化して腫れていて   
も、体の外からその腫れに気づくことはまずありません。しいていていえば、喉   
の辺りを押えると痛むことがある、といったくらいでしょう(検査上、副甲状腺   
機能亢進症に結びつく唯一の手掛りは、「血液中のカルシウム濃度」の異常)。   

2.【甲状腺機能低下症(=橋本病)】以下橋本病と記載。   
むくみ」は橋本病の典型的な症状でもあります(抜け毛や髪のパサつきもその一つ)。ただ、腎臓病や心臓病などによるむくみは、圧するとその部分が凹んで戻らないようなむくみですが、橋本病の場合は圧しても凹まず、全体的に幅ったい感じになります。橋本病のむくみは全身に起りますが、特に顔面に強く現われやすいので、まぶたが腫れぼったくなります。   
それから「甲状腺腫」と呼ばれる甲状腺の腫れも橋本病の代表的な症状の一つです。甲状腺腫は触れてもわからない小さなものから、かなり大きく触れて、のどに違和感を感じるものまで様々ですが、いずれも通常、痛みはありません。また、甲状腺腫が大きいから重症とは限りませんし、小さいから心配ないというわけでもありません。問題となるのは、甲状腺機能が低下しているかどうかです。   
ところで、橋本病は、30~60歳代に多いのですが、年をとると一般的に甲状腺の機能が低下しがちなので、老年の患者さんが増える傾向にあります。しばらく前の統計では、橋本病は全老年人口の0.5~3.8%にみられます。平成元年の日本の65歳以上の人口は約1480万人、とすれば全国に7万4000人~56万2000人もの老年の患者さんがいることになります。そして問題なのは、老年の甲状腺の病気は、若い人のようにはっきりとした症状があらわれないうえ、なんらかの合併症を持つ場合が少なくないことです。さらに心身に老人性変化があらわれている例もしばしばみられるので、病気の診断が難しくなりがちなのです。そのため、間違って診断され、長い期間、他の病気の治療を受けていた、というケースが少なくなりません(高齢者の橋本病はかなり診断が難しく、ある学者の報告によると「専門医以外の診察では90%が見落とされている」とされているほどです)。   
なお、上述したバセドウ病同様、橋本病もまた“誤診が多い病気”です。間違って診断されていた病気を挙げると、   
腎臓病・・・・・・むくみ、タンパク尿、高コレステロール血症   
気管支炎・・・・・・声のかれ、呼吸困難   
認知症・・・・・・口が遅い、記憶力の低下   
心臓の病気・・・・・・心臓がドキドキする   
末梢神経炎・・・・・・手足のしびれ   
脳血管障害・・・・・・いびきをかきやすい、ウトウトと眠りがち、無関心   
更年期障害・・・・・・月経不順(一時的に量が増える)、無月経など月経   
異常   
筋緊張性ジストロフィー・・・・・・筋肉がつる   
各種貧血・・・・・・手足が冷えて寒がりになる、皮膚が冷たくカサカサに   
なる等   

  

*低下症について、「体温計一本でできる健康管理」(B.O.バーンズ著)の一読   
おすすめです(ポイント抜粋)。   
なお、いずれの書籍にもホルモン剤補充療法の記載しかありません。   
亢進症、低下症いずれも当院でもある程度対応可能ですが、自分で対処可能な   
方法が見つかり次第、ここに掲載予定です。   
ちなみに、私が知っている低下症に対する可能性のある方法は以下通りです。   
ノドを(ノド仏を中心に)150~200回なで上げます。一日一回でOK。   
一回で無理な時は2回に分けてもOK。   
コツは、「ゆっくり、やさし~く」なでることにあります。   
決して強くなでてはいけません。
*血液循環や体温調節に最も関係の深いホルモンは、甲状腺から分泌される甲状腺
ホルモンです。甲状腺ホルモンには、基礎代謝を増加して体温を上げる働きがあ
りますから、橋本病になると、甲状腺ホルモンが低下して、体温が下がります。   
*甲状腺ホルモンには、腸のぜん動運動をコントロールする働きがあります。   
そのため、橋本病で甲状腺ホルモンが足りなくなると、腸のぜん動運動も低下し   
ます。腸のぜん動運動が低下すると、便が停滞しやすくなりますから、便秘にな   
りやすくなるのです(逆にバセドウ病の場合は、腸のぜん動運動が活発になり過   
ぎるため、便の回数が増えたり、症状がひどいと下痢が続くこともあります)。   
胃や腸に異常が認められないのに便秘や下痢が続くときは、ホルモンの異常が原   
因かもしれません。   
インターフェロン(C型肝炎の治療薬)以外にも「アミオダロン」という不整脈   
の薬、「イソジンガーグル」といううがい薬などでも、橋本病を起こすことがあ   
ります。

《誤診の起きやすい例、見逃されやすい例(参考書籍から抜粋)》   
〇橋本病では、貧血と同じように手足が冷えて寒がりになる、皮膚が冷たくカサ   
カサになるといった症状が伴いますから、 鉄欠乏性貧血と間違えらえることが   
よくあります。   

〇ボケ老人だと思われている人達の中に、軽症の橋本病の患者さんがかなり含まれ
ています。老年の橋本病に多い症状としては、健忘、不眠、記憶力・注意力の低
下、うつ症状といったボケ症状の他、貧血、顔のむくみがあげられます。その
他、疲労しやすい、手足や肩の筋力の低下、手足等の皮膚の乾燥・痒み、便秘、
髪などの脱毛、声のかれ、寒がりなどの症状が現れます。   
これは外国の報告ですが、ある地域のボケ老人の30%近くが、実は橋本病だった   
ということもあるのです。   

3.【その他のホルモン起因の病気・症状】   
◆高血圧   
〇褐色細胞腫   
副腎髄質におでき(腫瘍)ができて、アドレナリンやノルアドレナリンという   
ホルモンの分泌が過剰になる褐色細胞腫という病気で、約85%の患者さんが高   
血圧症になります。   
30代をピークに20~40歳代に多い病気で、高血圧症になっている人は2万人   
ぐらいいるとみられています。褐色細胞腫による高血圧症では、ときに発作的   
に血圧が高くなるタイプの人がいます。高血圧発作はときに誘引のないことが   
ありますが、運動、ストレス、食べ過ぎ、排便、飲酒、腹部触診などがきっか   
けになって起こります。   
*高血圧以外の褐色細胞腫の主要な症状は、頭痛、動悸、発汗、顔面蒼白、神   
経過敏、疲労感、胸痛、体重減少等。こうした症状を伴う高血圧の人は、専   
門員を訪ねて検査を受ける必要があるでしょう。   
〇原発性アルドステロン症高血圧   
内分泌性高血圧症の中で一番多いのは、原発性アルドステロン症による高血圧   
です。   
この病気の人は、日本に2~3万人はいるとみられています。原発症アルドステ   
ロン症とは、ほとんどの場合、副腎皮質におでき(線種)ができ、アルドステ   
ロンというホルモンの分泌が過剰になる為に起こる病気です。このホルモンに   
は体内に塩分を貯える働きがあり、その塩分が血圧を高くするのです。主な症   
状は、高血圧と、血液中のカリウムが少なくなる低カリウム血症です(頑固な   
高血圧をもたらします)。低カリウム血症によって、脱力感、手足の筋力低   
下、手足のマヒ、多飲・多尿といった症状が現れますが、その前に高血圧が続   
きます。   
原発症アルドステロン症による高血圧は、通常の高血圧の治療を行ってもなか   
なか血圧が下がりません。このようなときは、血液中のカリウム濃度が原発性   
アルドステロン症の発見の手がかりになります。   
なかなか改善されない高血圧、特に若年者の高血圧は、先に述べた褐色細胞腫   
や原発性アルドステロン症などホルモンの病気が原因かもしれません。   
〇腎血管性高血圧症   
アルドステロンが関係する高血圧症に、腎血管性高血圧症があります。これ   
は、片方の腎臓へいく動脈が何らかの原因で細くなり、腎臓の血流が悪くなる   
為に起こる病気です。血中のレニンの測定で判別できるので、若い人の高血圧   
症では、この腎血管性高血圧症を疑ってみることが大切です。   
〇クッシング症候群   
コルチゾールという副腎皮質ホルモンが多すぎるために起こるクッシング症候   
群という病気でも、その80%の人が高血圧にあります。この病気も全国に1万   
人もの患者さんがいると考えれらていますが、その多くは見逃されています。   
ただこの病気は、高血圧だけでなく、血糖値が高くなり、体が太って顔が丸く   
なるという症状を伴います。首の付け根に、水牛のような脂肪の塊ができるこ   
とがあります。中年男性のいわゆる“重役ぶどり”といった感じです。原因の   
60%は脳の下垂体の中にできるおでき(線種)、40%は副腎のおできです。   
クッシング症候群も、ひどくなると感染に対する抵抗力が弱って、珍しい感染   
症にかかりやすくなるなど、余病や合併症の心配があるので、早期診断・治療   
が必要です。   

◆末端肥大症   
末端肥大症とは、脳の下垂体にできたおでき(腫瘍)が原因で、成長ホルモンが   
過剰に分泌されるために起こる病気です。思春期前にこうした状態になると、高   
身長を主な症状とする巨人症になりますが、骨の成長が止まってしまった思春期   
以降に発症した場合、手足の末端が肥大したり(靴や指輪のサイズが大きくなっ   
ていきます)、鼻や唇が大きくなって顔つきが変わってきたりする、末端肥大症   
になります。そして、この末端肥大症の特徴的な症状の一つに、高血糖があるの   
です(過剰に分泌される成長ホルモンが、インスリンの働きを妨げるためです   
が、尿や血液の糖の量を調べただけでは、糖尿病との区別はつきません)。   
末端肥大症では、その50%で糖尿病を併発しますが、現在、日本には数千名以上   
の患者がいると推定されています。30~40歳代に多い病気で、男女差はありま   
せんが、典型的な症状を伴わない人も少なくはないのです。   
尿に糖が出たからといって、「そら糖尿病だ!」と結論してしまうと、本来、完   
治できる二次性糖尿病なのに、いわゆる一次性糖尿病として長い間悩み続けなけ   
ばならなくなるケースは、決して少なくありません。   

◆月経不順   
月経不順があるときは、卵巣や子宮の異常とは限らず、の方に問題があること   
がよくあるのです。そして、脳の視床下部や下垂体の働きは、精神的なショック   
やストレス、栄養障害などの影響を強く受けやすいのです。   
月経不順の時は、卵巣機能などいわゆる女性生殖器の病気も考えなければいけま   
せんが、甲状腺の病気も頭の片隅に入れておく必要があるのです。   
〇シーハン病   
出産のとき大きな出血はありませんでしたか?」   
無月経を訴える患者さんに、こう聞くこともあります。無月経の原因の一つに   
シーハン病というホルモン異常がありますが、この病気が分娩と深い関係があ   
るからです。   
分娩のときに大出血を起こすと、血圧が下がって脳へ行く血液が足りなくな   
り、下垂体前葉が壊死して、その機能が低下すること があります。これがシ   
ーハン病です。下垂体前葉は副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、   
卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンなど、いくつもの大切なホルモンを分泌   
していますから、その機能が低下すると、これらのホルモンが足りなくなり、   
様々な症状が現れるのです。   
その初発症状が“無月経”なのですが、ほかに、母乳が出ない、陰毛や腋毛が   
抜け落ちるなどの症状を伴います。病気が進行してくと、低血糖を起こし、危   
険な状態になることもあります。   
〇クッシング症候群   
無月経”の原因となるホルモンの異常にクッシング症候群があります。コル   
チゾールというホルモンが脳の下垂体や副腎にできたおでき(腫瘍)から過剰   
に分泌されるために起こる病気です。クッシング症候群は進行すると、高血   
圧、糖尿病、心臓障害などを引き起こす、無視できない病気ですが、女性の場   
合は初発症状が無月経の場合が多いのです。それほど多い病気ではありません   
が、原因がなかなか分からない月経異常の場合、やはり、クッシング症候群も   
疑ってみる必要はあるでしょう。   
もちろん、月経異常はホルモンの病気以外の、いろいろな慢性疾患や精神的影   
響などでも起ります。しかし、それはいずれもホルモンの異常を仲立ちとして   
いるのです。ですから、逆に、「月経が順調ならホルモンの異常はない」とも   
考えられるわけです。   

◆精神症状   
精神症状を伴うホルモン異常には、次のようなものがあります。   
○バセドウ病・・・・・・気分のイライラ   
○副甲状腺機能低下症・・・・・・うつ状態   
○下垂体前葉機能低下症・・・・・・うつ状態   
○副腎皮質機能低下症・・・・・・うつ状態   
○末端肥大症・・・・・・高揚状態   
○クッシング症候群・・・・・・多幸状態、ときにうつ状態   
○男子性機能低下症・・・・・・積極性の低下   
○更年期障害・・・・・・気分のイライラ   

4.【ホルモン剤の害】(参考書籍より一つだけ記載)   
ホルモンの薬害で一番問題になるのは「副腎皮質ホルモン剤」(ステロイドホルモン)です。副腎皮質ホルモン剤は効果も劇的ですが、長い間使い続けると色々な副作用を起こす危険性があります(長期間使うことになりやすい病気の中で、患者さんの数が特に多いのは、慢性関節リウマチと気管支喘息です。他、ネフローゼ症候群など)。   
さて、副腎皮質ホルモン剤の副作用ですが、まず問題になるのは免疫力の低下です。また、骨がもろくなり、大腿骨の骨頭が壊死し、骨折を起こすこともまれではありません。子供では、この薬が食欲を減退させ、成長を抑えているという場合もあるのです。   
糖尿病になりやすい体質の人では、この薬をある期間飲むと糖尿病を発症して、服用を中止しても治らなくなります。この副腎皮質剤による糖尿病の場合、食後の尿に糖が出ても、空腹時には糖が出ないことが少ないくないので注意が必要です。また、副腎皮質ホルモン剤をたくさん飲んでいると、胃潰瘍を起し、突然、血を吐いたり、下血を起こすことがあります。   

5.【甲状腺のセルフチェック】   
触診すると、橋本病(=甲状腺機能低下症)は凹凸や硬いゴリゴリ、パセドウ病(=甲状腺機能亢進症)は、全体に弾性があり拍動を感じる。バセドウ病の場合、95%の患者さんで甲状腺が腫れているのですから、首を触診してみれば、そうそう見落とすことはありません。「唾を飲み込んでごらんなさい」といって飲み込ませれば、甲状腺が腫れているかどうか、それだけでも大体分かります。    
  
甲状腺の腫れのセルフチェック方法   
◆バセドウ病・橋本病のセルフチェッククリスト[その1][その2]   

(参考書籍)   
★治療が長引く症状はホルモン病を疑え 改訂新版(鎮目和夫著)1991年   
★ホルモンの病気がわかる本(出雲博子著)2007年   
・甲状腺の病気を治す本(栗原英夫著)2009年   
★体温計一本でできる健康管理(B.O.バーンズ著)2010年   

top